次の英文を訳してください。
To the degree to which the individual, figuratively speaking, has not yet completely severed the umbilical cord which fastens him to the outside world, he lacks freedom.
I wish to call these ties that exist before the process of individuation has resulted in the complete emergence of an individual “primary ties.”
To the degree to which S Vの部分
To the degreeは直訳すると、~という程度まで、となるが、主語動詞に合わせてうまく訳を工夫する必要がある厄介な表現。
which以下のSVOはthe individual has not yet severed the umbilical cordである。本来この後ろにto the degreeが続くがその部分が関係詞を使って前に来ている。そこでthe individual has not yet severed the umbilical cord to the degreeの意味を考えると、「個人が一定程度、完全にはへその緒をまだ断ち切っていない」となり、そこにfiguratively speaking(比喩的に言うと)が挿入されている。
which fastens him to the outside worldの部分
ここはへその緒を説明して、「個人を外界と結びつけているへその緒」の意味。
一文目全体の訳
直訳すると、「比喩的に言うならば、個人が一定程度自分を外界と結びつけているへその緒をまだ完全に断ち切っていない程度までは、自由を欠いている」となる。
ただ、これでは程度が二度出てきてしまうため読みづらい文になる。そこで「程度」を減らしてみる。
「個人が、比喩的に言うならば、自分を外界と結びつけているへその緒をまだ完全には断ち切っていない程度には、自由を欠いている」。これでもまだピンと来ない方もいるだろう。要するに、個人が完全に自由になるにはへその緒を断ち切る必要がある、という内容である。そこで、「完全に断ち切らない限りは、自由とは言えない」とまで意訳することも可能である。
二文目の構造
I wish to call thse ties that existを見た段階で、call O Cを想起する。なぜなら、これらの絆、結びつきを呼びたい、では意味が通らないからである。ここでは、Oにあたるのがthese tiesで、それを修飾している部分がthat以下になる。とすると、Cがどこにあるのかを意識しながら訳す必要がある。individuationは「個人が人格を形成するに至ること」の意味なので、「個人の人格形成の過程により生じた、個人の完全な出現の以前に存在するこれらの結びつき」がOであって、Cにあたるものが”primary ties”になる。
したがって、「私はこういった結びつきを、私は「一次的絆」と呼びたい」というのがこの文の構造になる。
訳出例:個人が、比喩的に言うならば、自分と外界を結び付けているへその緒をまだ完全に断ち切っていない限りは、自由であるとまでは言えない。
個人が人格を形成して、完全な個性を持つ人間になる前に存在するこういった結びつきを、私は「一次的絆」と呼びたいと思う。