今回は語源の話です。
皆さんはハイパーマーケットという言葉を聞いたことがありますか?
ハイパーマーケット(hypermarket)はアメリカのコストコやフランスのカルフールという大型スーパーが一つの例で、スーパーマーケット(supermarket)より大規模な店舗を指すことが普通のようです。
そのため、ハイパー>スーパーといった序列があるように思われています。
ところが、hyperとsuperは語源は同じで、hyperもsuperもともとは同じ意味だったそうです。
しかし、hyperはギリシャ語を起源としているのに対しsuperはラテン語を起源としており、古代ではギリシャ語がラテン語より上、という考え方があったため上下関係ができたとのことです。
ギリシャ語、ラテン語ともにインドヨーロッパ語族なので、似ている部分も多く、ギリシャ語のhとラテン語のsは対応しており、hemisphere(半球) semiconductor(半導体)のように、hemiもsemiも半分という意味で共通性を持っているとのこと。
また、1という意味のmonoはギリシャ語系、uniはラテン語系の言葉で、monotone(単色) unity(統一)として英語に取り入れられています。
英語はこういった別由来の言葉が一緒になっていて、さらにラテン語→フランス語を経由して英語に入ったものまであるために、学ぶものを混乱させることがよくあります。
guarantee もwarrantyも両方「保証」という意味なのに、同じような単語がなぜ2つもあるんだと思いますが、フランス語のgの音がフランス北部のノルマン地方ではwの音に変化した(つまり一種の方言ですね)ため、その両方が英語に取り入れられて、いまだに存在しているというわけです。
びっくりするのは、host(主人)と guest(客人)は元々は同じ意味の単語だったそうです。どちらももてなしあう関係性があり、ある時は主人になりある時は客人になるといったことで一つの語として捉えられていたとのこと。hospitalや hotelも、病人や、旅人をもてなす場所なので、これらの関連語だそうです。
またhostの語源であるラテン語のhostisには「見知らぬ人」という意味があり、そこからhostage(捕虜) hostile(敵意のある)という言葉が生まれ英語に残っています。
もてなすことと、敵視することが同根とは面白いですね。
反対の意味と言えば、日本語の「うがった見方をする」は疑った見方をするという風にマイナスの意味で捉えられがちですが、「穿つ」は突き抜けるという意味なので、物事の本質をとらえる見方をするというプラスの意味を持った誉め言葉です。しかし現代ではマイナスの意味が主流となっているようです。
言葉は時代とともに変わっていくから難しく、そして面白いのですね。