動詞の目的語をめぐるちょっといい話

閑話休題

第4文型から第3文型への書き換え公式は、本当にイコールなの?

中学では、He sent me a letter.(SVOOの第4文型)は、He sent a letter to me.(SVOの第3文型)と同じですよ、と習いますが、多少意味合いが異なってくるようです。
前者は動詞の働きかける相手は「私」で、「私が手紙を受け取るようにしてくれた」というニュアンスを持っていますが、後者の動詞の働きかけは「手紙」に対するもので、その手紙が私のところに移動するようにしてくれた、というニュアンスです。つまり、私が手紙を持っている状態、をイメージするか、手紙が私の方に向かって進んでいるかをイメージするかといった違いです。
わかりにくい?では別の例を出しましょう。

①He threw me a ball. ②He threw a ball to me.はどんなイメージの違いがあると思いますか?
①は私がボールを受け取っているイメージです。②はボールが私の方に投げられたというだけで、私がボールに気づいているかは無関係です。
こんな風に、目的語を取る動詞は目的語に対する強い働きかけがあります。また目的語を2つ取るいわゆる第4文型は、最初の目的語と2つ目の目的語の間には所有させるようにする、あるいはその逆(The book cost me 1000yen.では1000円失っていますね)のように、所有関係をイメージするとよいでしょう。
ですので、①は私がボールを所有しているイメージを持つのが自然な発想です。

ぼくは肩をポンポンと叩かれた、ってどう言えばいい?

①He patted me on the shoulder. ②He patted my shoulder.どちらも正解です。
高校生に教えていると①のような構文が必ず出てきて、前置詞を入れさせる問題形式が出題されることが多いようです。逆に②は当たり前すぎるのか、習わないようです。そのため、中には、He patted my shoulder.とは言ってはいけないと思い込んでいる生徒もいます。
これは動詞の目的語への働きかけの対象が違うだけで、どちらも正しい表現です。
He patted me on the shoulder.は、Tomじゃなくぼくが叩かれたんだ、というイメージでそこが肩だったということがあとでくっついてきます。He patted my shoulder.ならば、「ぼくの肩」のイメージが先に出てきて、頭でもなく腕でもなく、肩だというニュアンスを持ちます。もっともこれは一般的なイメージで、どこを強調して発音するかで変わってきますが。
このように、目的語は動詞とのつながりが強いということを覚えておいてください。
それがはっきりわかるのが次の例です。

「壁とペンキ問題」

①He sprayed the wall with paint. ②He sprayed paint on the wall.
これらの2文はどう違うでしょうか?
壁にペンキを塗った(スプレーした)状態はイメージできますよね。これまで述べてきた動詞と目的語のつながりを意識することが理解できた方には違いが分かるかもしれません。

①は目的語がthe wallなので、壁全体が塗られたイメージです。それに対して②はpaintが目的語なので、ペンキが壁の一部に塗られた状態がイメージできます。
これは日本語で言えばわかりやすいかもしれません。
彼は壁をペンキで塗った。彼はペンキを壁に塗った。
どうでしょうか。①と②の違いがはっきりしてきたのではないでしょうか。

以上、動詞の目的語をめぐるお話でした。

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